千歳市花園のサケのふるさと千歳水族館敷地内に整備された「せせらぎ水路」に、開館以来初めてシロザケが遡上(そじょう)し、訪れた観光客や同館関係者を驚かせている。
千歳川につながる同水路は、水族館が毎年春に実施するサケの稚魚放流で知られる。1994年9月の開館時にサケが回帰する水路にしよう―と初代館長の木村義一氏が発案。千歳川からくみ上げた水と水族館の水槽の水を水源とする階段式魚道を開設した。
同水路は親子が憩う親水空間として長年親しまれてきたが、これまでサケが遡上することはなかった。今月2日に最初に確認されて以降、千歳川を遡上するサケに比例して同水路でも徐々に増えてきて15日時点で水族館裏の池で5匹、水路の各所で3~5匹が確認され、これまでに60匹超。一部で産卵もしているという。
水路は総延長273メートル。最大45センチと落差は大きく、サケにとっての難所は12カ所。散歩中の市民が魚道で何度もジャンプを試みる傷ついたサケに「頑張れ、頑張れ!」と声掛けしながら応援している。
菊池基弘館長は「開館26年で初めての現象。夏はイトヨやフクドジョウの繁殖が確認され、秋にはサケの大挙遡上と、今年の水路は話題が尽きない」とし、「初めてのことなので、静かに見守ってほしい」と話している。