「きょうは楽しかった?」「うん!」―。苫小牧市緑町の主婦、森友香さん(36)は日課のように、自宅前で認定こども園のバスを出迎える。バスが到着し、ドアが開くと、長女の柚月(ゆずき)ちゃん(3)が笑顔で駆け下りる。友香さんに抱き付き、園の様子などを生き生きと報告。約2カ月遅れで始まった通園は順調で、友香さんはほっと胸をなで下ろす。
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柚月ちゃんは4月から認定こども園のプレスクールに通う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、政府が緊急事態宣言を出したことで一転。入園してすぐに休園となり、友香さんも「仕方がない」と受け入れた。できる限り外出を避け、自宅でお菓子作りや工作、DVD鑑賞など、工夫しながら日々を過ごした。
6月に園が再開し、親が付き添う慣らし保育からスタート。柚月ちゃんの様子を見ながら、午前保育、午後3時までの保育と徐々に預ける時間を延ばした。8月20日の夏休み明けからは週4回、午前9時から午後3時まで通園させている。柚月ちゃんも園の雰囲気にすっかり慣れたようで、「みんなと遊ぶのが楽しい」と笑顔を見せる。
登園時は祖母が手作りした小さなマスクを着け、毎朝の体温チェックも欠かさない。友香さんは「ちょっとした外出時や友達と会うときなども、小まめに体温を測るようになった」と話す。緊急事態宣言が解除された後も、自分や家族の体温を日々気にしている。
札幌の実家に帰省したり、子育て支援センターでセミナーに参加したりと日常は戻りつつあるが、柚月ちゃんを連れた外出はまだ不安がある。2人で「ばい菌さんがいなくなったらディズニーランドや温泉に行きたいね」と話しながら、いつか訪れる平穏な日々を思っている。 (小玉凜)
(おわり)