2018年9月に北海道全域を襲った胆振東部地震から6日で丸2年を迎えた。大きな被害を受けた厚真、安平、むかわの3町の町長に復旧工事の進捗(しんちょく)状況や見通しなどを聞いた。
―復旧、復興状況をどう受け止めているか。
「国や道、町が発注した復旧工事は順調に進んでおり、町民からも評価の声を頂いている。土地所有者や地域、技術者、予算を確保してくれた関係者のおかげ。本当に感謝している」
―仮設住宅は入居期限が迫っている。
「受け皿となる災害公営住宅や福祉仮設住宅は工期に間に合うよう、業者が最善の努力をしている。恒久的な住宅となる公営住宅などへの入居は災害救助法の期間内に完了できる見込みだが、柔軟な対応も必要になる。町として技術的な支援や精神的なフォローアップ、資金面も含めた相談対応をチームで進めている」
―被害が大きかった北部山間地の町民の今後やコミュニティーづくりの見通しは。
「幌内地区の住民はほぼ全員が地元に戻る予定。富里地区は市街地に近く、当面は災害公営住宅で生活するという人もいる。高丘地区もその割合が比較的高い。吉野地区は土砂の撤去が終わり、営農を再開できるようになった。崩壊した急傾斜地は地盤の安定化が図られ、個人で管理し切れない場所は町が緑地化することを提案している」
「避難所を兼ねたコミュニティー施設を整備する計画だが、地域ごとの再編が不可欠だ。時間をかけて協議してもらう必要があり、自治会の意向も踏まえながら取り組む。復旧作業は順調に進んでいるが、新型コロナウイルスが流行し、住民は自治会活動を思うようにできず話し合える機会も少ない。主な自治会で構成する『コミュニティー施設を建てる小委員会』も開催が遅れており、秋口にも再開したい」
―震災の記憶や記録を整理する活動を進めている。
「3町の取りまとめ作業は年度内に終わる予定だが被災直後と応急期の対応整理にとどまる見通しで、当町としてはさらに復旧から復興に向けてどう歩んだかもしっかりと記録する。震災にどう対応したのか。自力で再建した方々も含め、どういう努力をしてきたのかを記録として残したい」
―庁舎再編を計画している。
「災害対策拠点は新耐震設計基準の1・5倍の耐震性能が必要とされるが、当庁舎は満たしていない。ただ通常の耐震判断上は問題ないので、復興遺構の位置付けで現庁舎を震災と埋蔵文化財の展示館として残し皆さんが見て、体感できる場所にしたい。防災拠点施設となる新庁舎はできるだけ早く整備するよう検討している。町民や町外から訪れる人が使いやすいと思う場所に建てたい」