▶8「シキナ」 水辺に自生 ござ編みに使用

  • チキサニ通信, 特集
  • 2020年8月24日
チキサニ前の駐車場に並ぶシキナ。アイヌ語で「本当の草」を意味し、ござ編みの材料として最も好まれた

 イランカラプテ(こんにちは)。白老町末広のしらおいイオル事務所チキサニでは、毎年8月下旬、町内のフシコベツ川とポロト地区で栽培したガマとフトイの採取を行っています。アイヌ語でガマはシキナ、フトイはカトゥンキと呼ばれます。共に、アイヌ民族の伝統的なござ編みの材料として無くてはならない植物です。

 ござは地域によっても呼び名が異なりますが、キナと呼ばれる文様のない無地のものと、チタラペと呼ばれる文様入りがあり、キナは敷物や寒さを防ぐため窓に掛けて使っていました。一方、チタラペは儀式で使用したり、海で使うイタオマチプ(板つづり船)の帆としても利用され、アイヌ民族にとって非常に大切なものでした。ですから、チキサニが毎年開催するござ編み体験の際、制作したチタラペを決して敷物として利用してはいけない―と講師から参加者への説明があります。

 ござ編みに使用するシキナは、穂が付いている「オス」と呼ばれる葉ではなく、穂が付かない「メス」と呼ばれる葉を用います。流れの緩やかな水辺に自生し、水中にある根元は白く、水から出ている葉の部分は緑色なので、まるで大きな長ネギに見えます。同じくござ編みの材料のカトゥンキも、ガマよりも細いので、大きな万能ネギに見間違えられるかもしれません。

 チキサニでは、採取したシキナやカトゥンキを天気の良い日中、約2週間にわたり駐車場に所狭しと並べて乾燥させます。そうすると、近所や通り掛かりの人たちが並べられたシキナやカトゥンキを見て、「これは何、食べるものかい?」と不思議そうな顔をしたり、スマートフォンのカメラで撮影したりする人もいます。「これはガマという植物で、アイヌ文化ではござ編みに使います…」と説明すると、興味津々の様子で見学していきます。こうした光景は私にとって、夏から秋へ季節の変わり目の風物詩となっています。

 さて、シキナはござ編みに欠かせない植物ですが、白老アイヌのフチ(おばあさん)によれば、かつて白老でも各所で見られたといいます。しかし、今では多くが姿を消し、豊富に採取することが困難になっています。チキサニのござ編み体験では、こうしたシキナの現状について講師から説明があり、参加者にアイヌ文化伝承に不可欠な自然素材と、その育成の重要性について知ってもらうきっかけになるようにしています。

 (しらおいイオル事務所チキサニ・森洋輔学芸員)

 ※毎月第2・第4月曜日に掲載します。

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