子供たちに一つでも多くの選択肢を残すために、責任世代として地域全体で取り組むべきことは、まちの環境、文化の整備と向上です。具体的には今まで見たことも聞いたこともない展望や手法、チャレンジに対して、許容や応援が心の底からできるかどうか、また、住民同士がつながりを強く保ち協力し合いながら生活をしているかが挙げられます。
どのような取り組みを実施するにしても、土壌がしっかりしていなければ何を植えても不作に終わり、やがてその畑は腐り荒野となることでしょう。未来に選択肢を残すためにはリスクや負担も承知で、慣習に捉われないチャレンジを繰り返し、予測不可能な時代を先駆ける存在にならなければなりません。
少なくとも私の住む虎杖浜には、その文化が今なお根付き、継承されていると感じております。明治初期から越後衆の開拓民が互いを尊重し、助け合い、必死に働き、何事も地域で取り組み、集落を発展させてきました。基幹産業の企業、学校、お寺や神社を中心に、豊かな土壌を築いてきました。
子供の数こそ多くはないですが、地域の大人たちが通学の見守りを自主的に行ったり、小学校の運動会に地域文化保存のプログラムがあり、保護者も児童も先生も混ざり全員で取り組んだり。また、新規事業者や転入者も少なくなく、彩りを増した新しい虎杖浜が出来上がろうとしています。
新規事業者に聞いたところ、決め手はテナント料金でも、利便性でもなく、まさしくこの地域の応援体制と住民であったので、虎杖浜モデルを昇華させ、他地域のためにも文化、環境の取り組みを発信していきたいと考えています。
(蒲原水産社長・白老)