まちの魅力

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  • 2020年8月14日

  白老町の西の端にカムイワッカ(神の水)と呼ばれ、湧き水が出る所がある。倶多楽湖の伏流水らしく、水をくみに来る人が絶えない。この天然水で入れたコーヒーの味は格別だ。町の東の端へ行けば軽種馬牧場や湿地、背後の樽前山の景観が見事。撮影スポットの観光資源になり得る。新鮮な海産物やおいしい牛肉が手に入るし、多様な泉質の温泉だってあるし、人も温かい。土地に根付くアイヌ文化にも触れられる。

   白老へ引っ越して1年余り。気付いた魅力を挙げれば切りがない。場所によっては買い物に不自由するけれど、高齢者の足を十分に整えれば、より住み心地の良いまちになる。東京から移り住み、カフエを営む女性は「人と人がつながりやすい、まちの広さがちょうどいい」。意見に同感だ。町民はもっとわが郷土を自慢していい。移住や観光を促すため町役場はセールスポイントを生かした事業、制度を創造すべきだ。

   まちのPRに若者が立ち上がった。33歳の会社員山田勇規さんが地元応援ソング「白老町のうた」を作り、動画投稿サイト・ユーチューブで配信を始めた。豊かな自然や食べ物などを歌詞にちりばめて発信している。「白老には人を引き付ける地域資源がたくさんある。それを多くの人に知ってもらいたい」。人口減をただ憂えたり、手をこまねいたりするのでなく、思い付いたらすぐに行動。その姿がたくましい。(下)

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