ウポポイ効果 創出に課題 駅前の商店街へどう誘客 白老

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  • 2020年8月14日
利用の低調が続く交流促進バス

  白老町ポロト湖畔のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)が開業から1カ月たった中、ウポポイの経済波及効果を町内にどう取り込むかが改めて課題となっている。観光客に町内を周遊してもらい、商業観光振興を図るために町が運行している交流促進バスの利用は低調のまま。ウポポイに近いJR白老駅前の商店街にも人が流れず、にぎわい創出への対策が求められている。

   交流促進バスは、JR白老駅とウポポイを起点に町内の観光・飲食スポットを巡る2路線、1日計26便を運行。車両は「ポンチョ」と呼ばれる乗車定員36人で、運賃は大人100円、小中学生50円とし、ウポポイ開業の7月12日から走らせている。

   ウポポイ見学で白老へ訪れた観光客に町内を巡ってもらい、地域経済の活性化につなげる交通施策だが、利用は思わしくない。町経済振興課によると、今月10日までの乗車人数(運行日数25日間)は2路線合計で412人。1日平均で16人程度にとどまり、「空気を乗せて走る光景しか見たことがない」とやゆする町民の声もある。

   低調の背景について町は「新型コロナウイルスの影響で観光の動き自体が鈍いことや、ウポポイ見学で白老に来る人の多くが車を利用しているため」とみる。周知不足も否めないため、町は白老駅の自由通路に停留所の場所を示す表示を設置したり、ホームページでPRしたりしているが、大きな効果は上がっていない。

   バス事業には車両2台のリース料や民間への運行委託料として年間2500万円の経費を必要とするが、費用対効果の面で課題を抱えている。経済振興課の担当者は「今年度は試験運行の位置付けのため現状のままで続け、しばらく様子を見るが、来年度については今の形でいいか検討したい」と言う。

   ウポポイ見学の観光客を駅前の中心商店街にどう誘導するかも課題となっている。JR線路を挟んでウポポイと反対側の南にある大町商店街には観光客がほとんど流れず、車で素通りしてしまうケースが多い。このため、商店街の各店はウポポイ開業効果を実感できずにいる。

   町は、車を利用する観光客にも商店街へ足を運んでもらうため、通りに駐車場を確保する準備を進めている。国の臨時交付金を活用して観光客を増やす事業も検討しており、「商店街のにぎわいを生み出す手段を考えていきたい」としている。

   一方、ウポポイのそばにあり、白老観光協会が運営する観光インフォメーションセンターの来館者数は、4月1日の営業開始から今月10日までに計4万6258人を数えた。特にウポポイがオープンして以降は2万9000人超と急激に増え、町の担当者は「相乗効果が現れている」とみている。

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