札幌円山球場で開催中の夏季北海道高校野球大会南北海道大会で、夏の甲子園連覇の実績を誇る駒大苫小牧は8日、準決勝に臨んだ。新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園と関連地方大会の中止を受け、道高校野球連盟が独自開催した一戦。佐々木孝介さんは「新たに望みを持てる大会を用意してくれた」と関係者に感謝。選手たちと日々できることに全力で取り組む「特別な夏」を過ごした。
2004年夏の甲子園で北海道勢初の優勝を主将として経験。09年から母校の監督に就任し14、18年の2回、春の選抜甲子園にチームを導いた。昨年夏は南北海道大会で4強入りしたが、2年生以下の新チームで臨んだ秋季大会は、室蘭支部予選の決勝で敗退。主力を担った北嶋洸太投手ら現3年生は、悔しさをバネに夏の甲子園出場に向け猛練習に励んでいた。
しかし、新型コロナ感染拡大防止のため2月下旬から2度にわたって学校が休校。部活動も停止を余儀なくされ、甲子園は春も夏も中止となった。「選手たちには直前まで望みを捨てないよう言い聞かせてきた」が、厳しい現実を突き付けられた。
6月に道高野連独自の大会の開催方針が固まり、新たな目標を得た一方、「甲子園という大きな目標を失った3年生に、何を残してあげられるのか」と自問自答の日々を送った。悩み抜いた末に出した答えは、「高校野球を全力でやり切ってほしい」との強い願いだった。
例年以上に厳しい練習を課した。新型コロナで部活動の時間は半分近くまで減り、練習試合もままならない中、3年生24人全員を極力グラウンド内で行動させるようにメニューを組み、一体感の構築に注力した。「野球は試合を重ねるごとに完成していけばいい」。声出し一つとっても見逃さず細かく指摘し、時には「1、2年生の面倒を見るぞ」とわざとハッパを掛けた。
最上級生の折れかけた心を必死につなぎ止めてきた結果が、南大会4強入りにつながった。「甲子園がなくなってかわいそうな子たちと思われてほしくない。大変な時だったけど、ものすごく頑張った代だったと誇れるようにするのが指導者としての役目」と佐々木さんは説いた。