②二つの映像重ねて表現  伊藤隆介 『M is for Marching』2020年(作家蔵) フリッツ・ラング監督 『メトロポリス』1927年

 未来都市の建築群、労働者と資本家の対立、革命蜂起などが独自の映像美によって描かれたフリッツ・ラング監督の映画『メトロポリス』(1927年)。流線型の女性ヒューマノイド「マリア」をはじめ、その革新的なビジュアルは大きな話題を呼び、以後のSF映画のみならず建築、デザインにも多大な影響を与えた。

 同映画と併置するかたちで展示される本作だが、単なるオマージュ作品とは言えない妙がある。作者の伊藤隆介(1963―)は、自身が手掛けた機械仕掛けのマリアの自動人形と、連続写真のこま送りによる”動く写真”の発明で知られるエドワード・マイブリッジが撮影した裸婦像の引用写真を自動回転させるギミック(仕組み)を制作。小型のカメラで双方の像がハーフミラー越しにリアルタイムに撮影されることで、歩行するマリアに対し、亡霊のように浮かびあがっては消える生身の女性像が重なることとなる。

 産業革命がもたらした科学技術の発展は、私たち人間に大いなる恩恵を与えた。一方でその変革は、人類を未曾有の戦争の時代へと歩を進めさせる結果にもつながっている。本作からは、そうした時代を超えて問われてきた「人間/芸術」と「機械/科学」の関係性に対する、作者の懐古的なまなざしを垣間見ることができるだろう。

 (苫小牧市美術博物館 学芸員 細矢久人)

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