車を買い替えて1年弱。あちこちに感知器があり、走行中や駐車時に危険があれば、音や画像で警告してくれる。これは必要なのかと思う機能もある。
道路地図一冊で十分という考えだから、GPS(全地球測位システム)で現在地や目的地を表示する「カーナビ」を使うのは初めてだ。毎日の始動時、女性の声で、きょうは何の日か教えてくれる。きのうは語呂合わせで「はし」の日だった。抑揚のせいで、橋の日か箸の日かは分からなかった。
車の位置が住宅街の細い道や駐車場に常に表示される。帰宅して電源を切ると、移動の時間や距離が分単位、100メートル単位で示される。ふと思う。この機械は、これらの情報をいつまで記憶しているのだろう。もし移動の情報や文字情報を、時刻と合わせて取り出す方法があれば、この車の運転者が何月何日の何時何分に、どこに居たのかが分かるのではないか。
新型コロナウイルス対策にもGPSが活用されている。大都市の駅付近の人出の増減が、よくテレビで紹介される。スマートフォンの位置情報をGPSで読み取っているそうだ。「監視されているようで気味が悪い」と、情報の提供を拒否する設定をしている人も多い。それでも位置情報は流れ、読まれているとの報道があった。
個人情報は守られると言うが不信は残る。便利な機械たちの不気味な能力。手元の寡黙な旧型携帯の何と素朴でかわいいこと。(水)