苫小牧市美術博物館で、特別展「生誕100年―ロボットと芸術~越境するヒューマノイド」が開かれている。人型ロボットが科学と芸術、そして大衆文化に与えた影響について紹介している。同館学芸員の細矢久人さん、大谷明子さんが5回にわたり展示を紹介する。
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ぴかぴかと光る丸い目、アンテナの付いた四角い顔、光沢のある鮮やかな色の身体。「ロボット博士」と呼ばれた相澤次郎(1903―96)によって作られたロボットは、60年代から80年代前半にかけて、子どもたちにとってロボットの主要なイメージとなった。
相澤は幼少期を夕張で過ごし、14年、小学5年生の時にロンドンで公開された人造人間「マシンボックス」を新聞紙上で見た。これが、相澤とロボットとの出合いであった。
その後、20年のカレル・チャペックの戯曲『R.U.R.』にて、初めて「ロボット」という言葉がこの世に誕生する。相澤は34年に「ROBOT」「ロボット」の商標登録をいち早く取得。ロボットは皆きょうだいという考えに立ち、この権利を行使せず、ロボットの普及に努めた。
52年には児童福祉に貢献する財団法人日本児童文化研究所(現・公益財団法人国際医療福祉教育財団)を創設し、児童館などに設置するロボットを製作した。ここで作られた大型のロボットたちは、全国各地の科学館やイベントで人気を博し、ロボットの基本イメージとして定着していく。「一郎」はその最初のロボットで、88年から2008年までゆうばりロボット大科学館にて展示されていた。
相澤のロボットは、親しみの湧くその見た目からも「人間社会のよき協力者」としてのロボットを目指していた相澤の思いが感じられる。
(苫小牧市美術博物館 学芸員 大谷明子)
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特別展は9月13日まで。午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館。観覧料は一般600円、高校、大学生400円、中学生以下無料。