⑧老人クラブ運営に難しさ 活動自粛の日々に困惑、再開を心待ちに

  • 暮らしの記録, 特集
  • 2020年8月3日
会報を通して思いを伝える菅原さん

  新型コロナウイルスの感染拡大により、活動の自粛が続く苫小牧市の第八区老人クラブ。例会も休止しており、会長の菅原雅夫さん(87)は「高齢者は感染すると重篤化するリスクも高い。再開の見通しは立たない」と困惑する。

   同クラブは今年が創立60周年の節目。1月に実行委員会を立ち上げ、11月の記念式典に向けて準備を進めるはずだったが、コロナの影響で2月下旬から活動自粛を余儀なくされている。4月の定期総会も書面で表決。5月から地域5カ所の公園清掃のみ行っている。

   会員100人で平均年齢は79・8歳。月2回の例会をはじめ、年2回の日帰り旅行、春の花見、秋の観楓会と会員が親睦を深め、毎年この時期のとまこまい港まつりでは市民おどりにも積極的に参加してきた。今年は密閉、密集、密接の「3密」になりがちな活動を控える日々だ。

   菅原さんが心配するのは会員たちの体調で「特に心配な会員については電話をかけて近況を聞いている」と話す。100人全員のケアは難しいため、月1回ほど発行する会報で感染予防を周知し、体調を気遣う「お変わりありませんか」「お会いできる日を楽しみに待とう!」といった文章で思いを届ける。

   5月下旬に緊急事態宣言が解除され、感染拡大がいったん落ち着いた頃に、8月から例会を再開する計画を立てた。検温やマスク着用、手指消毒などの感染対策を練っていたが、7月にまたも全国でコロナ感染が拡大傾向になり、「まだ活動を再開するには早い」と苦渋の決断を迫られた。

   散歩途中で擦れ違う会員からも「早く活動ができるといいね」と再開を心待ちにする声を聞く。コロナ前には戻り切らない日常や暮らしに、菅原さんは「これまで経験したことのない状況の中、クラブ運営する難しさを感じている。今後も状況を見ながら慎重に判断していく」と話す。(松原俊介)

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