船で何度か国内旅行をしている。客室を自室のようにゆったり使えるし、雄大な大海原や神秘的な星空の眺めを存分に楽しめるからだ。しかも船内イベントは盛りだくさん、寄港地では観光を手ぶらでできる。
ただ、今年はさすがに船を怖いと感じた。2月に米国のクルーズ会社が運航する豪華客船で、新型コロナウイルスの感染者が集団発生。多数の乗客が感染におびえた。6月には郵船クルーズが運航する大型クルーズ客船「飛鳥2」で火災。黒煙がもうもうと船内から立ち上ったためだ。
どちらにも衝撃を受けたが、特に「飛鳥2」は苫小牧港に毎秋寄港し、なじみがある。近年は後継船の造船が話題になっていて、郵船クルーズも今春「2」の客室などを改装、その後の利用客の声を次の船に生かす考えを示していた。そんな折のコロナ感染と火災。今後の船や船旅に期待感を持っていただけに気持ちは沈んだ。
この上は、さまざまな課題に対応した後継船が早く造られ、船のイメージを明るくしてくれることを期待する。苫小牧市や厚真町など寄港地の住民の運賃を半額にするキャンペーンを9月に始めるフェリー会社もあり、利用客数が復活するきっかけになることを願う。港まちの人々には一番に船のことを分かってほしいという船会社の思いを感じるところで、記者も機会をつくって客船を利用し、魅力を確かめていきたい。(林)