北海道栄高校陸上部1年の納村琉愛(のうむらるな)がこのほど、千歳市青葉陸上競技場で開かれた道央記録会に出場し、女子100メートルで11秒99の好タイムをたたき出した。道内現役生徒の中でも上位の記録。高校年代レース出場3戦目で早くも到達した大台に「まさか出るとは思っていなかった」と目を丸くするが、小中学時代に短距離ハードル種目で全国トップクラスの実績を誇る深川市出身の大器。さらなる記録向上を目指し、所属の先輩が数々の実績を上げてきた道栄陸上部で恵まれた素質を磨いている。
「今年中には出したい」と目標に掲げていた11秒台が、思わぬ形でかなった。道央記録会の前日に室蘭市開催の記録会にも出場し、100メートルを12秒54で走ったほか、高校進学後初の100メートルハードルにも挑戦していた。「ももの裏が張っていた」と翌日になっても疲労が抜けず、道央記録会時はスタート直前まで「不安しかなかった。実力のある社会人や大学生と同じ組だったので、精神的に追い込まれていた」と言う。
ただ、スターティングブロックをセットしている際、風向きが記録の出やすい追い風に変わったことに気付いた。「いい風が吹いてる。同走の先輩たちに頑張ってついていこう」と心が決まった。得意のスタートダッシュで得た勢いそのままに、11秒88の組1位でフィニッシュした島田雪菜(道ハイテクAC)に次ぐ2位。「体調が万全ではない中、いい走りはできた」と胸を張った。
深川一已小6年で全国小学生陸上競技交流大会女子80メートルハードル優勝、中学3年時にはジュニアオリンピック大会女子100メートルハードルで準優勝にも輝いた納村。昨年、深川市内で合宿していた道栄陸上部の様子を目にして「とても楽しそうに練習している雰囲気のよさに引かれた」と進学を決意した。
指導に当たる堀下航監督は「運動能力が高くてタフさもある。スタート時から速いピッチを保ったままゴールできる、力みのない走りが魅力」と絶賛する。昨年秋の国民体育大会女子400メートル準優勝のアシィしおり(3年)、同男子100メートル2位の町井大城(2年)に続く有望株に「高校総体女子100メートル、100メートルハードルの2種目制覇を目標に頑張ってほしい」と期待を寄せる。
「安定した走りができるようにはなってきた。前半の速さを中盤以降にもっと乗せられるようにして、次は11秒8台を目指したい」と納村。中学年代に比べ7・6センチ高くなった高校ハードル種目にも本腰を入れる構えで、「走りにスピードが付けば高くなっても心配はない。中学では届かなかった全国優勝をかなえたい」と意気込む。