65歳以上の市民が生活機能の向上や地域社会活動への参加を通し、生きがいづくり、自己実現を目指す介護予防教室。新型コロナウイルスの感染拡大により、苫小牧市内の21教室は2月下旬から最長で6月中旬まで活動を休んだが、コロナ対策を徹底して活動を再開させた。市介護福祉課は「長期間の自粛で参加者の筋力や体力の低下が見られる」とし、コロナ禍でも「教室の開き方を模索して続けたい」と語る。
介護予防教室は市が運営を委託する7カ所の地域包括支援センターが、町内会館や福祉会館などで開いている。同教室とは別に市が主催する「げんき倶楽部」もあり、それぞれ高齢者の健康保持や増進を支えている。
新富町の南地域包括支援センターは、市内で感染者が発生した2月下旬から活動を自粛。国の緊急事態宣言が解除され、道内の感染者増加も落ち着いてきた6月上旬に再開した。飛沫(ひまつ)や接触による感染リスクを軽減するため、人数の多い教室は参加者をグループ分け。少人数ずつ、隔週で参加するなど工夫を凝らす。
参加者に対しては事前にチェックシートを配り、体温や血圧を測定、せき、鼻水、頭痛がないかを含めて記入してもらい、体調を把握する。マスク着用を促し、会場入り口には消毒液を置き、窓を開けて十分に換気。水分補給時の雑談も控えるよう協力を呼び掛ける。参加者同士が2人1組で接触するような運動は避け、前後左右の間隔を2メートルほど保つよう心掛ける。教室終了後は、場内の消毒作業を徹底している。
同センターの諸星由美子看護師は「消毒や検温などの感染症対策で、以前より準備に時間がかかるようになったが顔を合わせて運動するのを楽しみに来てくれる人がいる」と強調。コロナ予防と介護予防を両立できるよう「市の方針に沿って今後も開いていきたい」と意気込む。
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21日に矢代町の第7区総合福祉会館で開かれた「体操いいクラブ」。高齢者12人がラジオ体操や腕を前方に伸ばして指を動かす運動、リズムに合わせて複雑な動きをこなす脳トレ、ばらばらの漢字の部位を組み合わせて二字熟語を完成させる問題への挑戦…。参加者が励まし合いながら和やかな時間を過ごしていた。
弥生町の室野澄枝さん(82)は普段、外出機会が少ないこともあって「仲間たちと声を掛け合いながらやれて楽しい」と笑顔。新富町の独居女性(74)も「一人でいるとネガティブなことを考えがち」と外出自粛が続いた日々を振り返りながら「みんなと和気あいあいと取り組む活動はやりがいも違う」とほほ笑んでいた。 (松原俊介)