体育の日がスポーツの日となって、きょうは本来なら2020東京五輪の開会式当日だった。大会は来年に変更されたが、世界はまだ新型コロナウイルスの感染拡大を止められないでいる。4連休の日本も全国的に第2波の様相を呈する中で政府のキャンペーンが始まり、人々が国内を移動する。コロナとの共生の仕方はこれで正しいのだろうか。
今年の「骨太の方針」が17日に閣議決定された。国の政策や重要課題、来年度の予算の方向を示す。十方に猛威を振るうコロナを踏まえた国策を打ち出す経済財政と改革の方針だったが、話題は乏しかった。内閣支持が低迷する中では受け止める側の注目度も低い。
骨太の方針は経済財政諮問会議がまとめた。首相と経済関係閣僚、経済界、学者らで構成する。かつては国の経済財政運営を官僚や族議員から官邸中心の政治主導にするため、打ち上げた政策が錦の御旗にもなった。コロナの渦中、政策が既定の路線だと先は見えない。混沌(こんとん)に照らすのは政治だ。例年より薄い「骨太方針2020」を読み、コロナ危機の課題に挙がる広範なデジタル化の意味の「デジタルトランスフォーメーション」だの、地方創生で「STEAM」(科学、技術、工学、芸術、数学)人材だのの語に戸惑い、距離感と空疎感がにじむ。
政治が示す道しるべは見えない。衆院解散の種火が起きる中、置き去りにされた感は強まる。(司)