釣り糸、釣り針による被害 一人ひとりの意識で防ぐ

  • 救護室のカルテ, 特集
  • 2020年7月22日
体中に釣り糸が絡みついている状態のヒヨドリ

 私たちが暮らす環境や何気ない日常は、時として野生動物たちに脅威を与えてしまいます。その多くが、建物・窓ガラスといった人工物や自動車等への衝突事故のように、どんなに注意を払っても防ぎきれない現実がある一方、私たちのマナー次第で防ぐことが可能なものがあります。それは、ごみによる事故です。私たちの心掛けだけで、多くの命を守ることにつながるのですが、残念ながらこの事故によって傷つく野生動物たちは後を絶ちません。

 先日も、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターに、立て続けに2羽の野鳥が運び込まれました。いずれの原因も、人によって捨てられた釣り針・釣り糸のごみによるものでした。

 1羽目はオオセグロカモメ(チドリ目カモメ科)。街中で、糸に絡まり動けずにいるところを保護されました。よく見ると、釣り針が付いたままの釣り糸が体中に巻き付いていました。かなりもがいたのでしょうか、口の中にまで入り込んだ釣り糸は舌に食い込み、血がにじむほどでした。また、足に食い込んでいる箇所は、化膿(かのう)しかけていました。ただ幸いにして、釣り糸に残った釣り針はカモメの体を傷つけておらず、すべての釣り糸を取り除き、傷の手当てを施した後、無事に海へと羽ばたいていきました。

 そして2羽目の鳥は、意外にもヒヨドリ(スズメ目ヒヨドリ科)でした。通常釣り針・釣り糸による事故は、カモメやハクチョウのような水鳥に多いのですが、このヒヨドリは、池の近くで釣り糸に絡まっているところを保護されました。この個体も大きなけがもなく、自然界へと戻ることができましたが、一見、水環境とは縁のなさそうな種の鳥であっても、釣り糸の被害に遭うことを知る症例となりました。

 釣り針・釣り糸を含むごみによる事故は、私たちの意識一つで、野生動物たちの未来を大きく左右します。どうか皆さま、ごみを野外に捨てないことはもちろんですが、もし不適切に捨てられたごみを見掛けたら、皆さま自身もけがをなさらぬよう拾っていただけたらと思います。その行動は必ず、多くの生きものたちの安全な環境の築きにつながるのですから。

 (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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