ウポポイ アイヌの歴史身近に、資料「六つのテーマ」で常時700点展示

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  • 2020年7月13日
開業初日、道内外から多くの人が、アイヌ文化に触れようと訪れた

  白老町のアイヌ文化発信拠点、民族共生象徴空間(ウポポイ)が12日に開業し、入場者2068人でにぎわった。アイヌ民族をテーマにした初の国立博物館「国立アイヌ民族博物館」は新型コロナウイルスの感染予防で、見学時間は1人当たり1時間、入場者数は常時100人に制限される中、838人がアイヌ文化に触れた。

   博物館は基本展示室や特別展示室、シアター、ミュージアムショップなどで構成。道内外から衣食住の道具、舞踊や儀式の用具など資料約1万点を集め、うち約700点を常設展示する。アイヌ民族の視点から六つのテーマ「ことば」「世界」「くらし」「歴史」「しごと」「交流」に沿って資料を飾った。

   函館市の水間恭兵さん(35)はアニメ「ゴールデンカムイ」でアイヌ文化に興味を持ったと言い、木彫を見て「アイヌ文様の形が地域ごとに違うことを初めて知った」。展示室は中央にテーマごとの代表的な資料を集め、ガラス張りのショーケースに入れることで、短時間でも見学できるよう工夫しているが「1時間では全然見きれない。また来たい」と話した。

   先住民族アイヌを身近に感じた人も多いようで、旭川市の増渕智博さん(43)は「アイヌ語は地名も多くて身近なはずなのに、アイヌ文化のことをよく知らなかった」と話す。恵庭市の葛西令年さん(66)も「アイヌ文様のすてきさを見直した」と土産品を買い求めた。

   一方、コロナ対策で資料に触るなど体験はできず、名寄市の美口北州さん(35)は「見るだけなら1時間でいいかもしれないけど、『また来ようかな』とはならない」と冷めた様子で「資料も新しい施設の割に物足りない」と話していた。

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