ウポポイは国が示す基本的対処方針などに基づき、新型コロナウイルスの感染予防策を徹底している。密閉、密集、密接の「3密」を避けるため、各施設で入場者数を制限しながら見学や鑑賞などの体験交流プログラムを展開。入場者の安全確保を最優先しており、目当ての施設に入れない人も目立った。
入場時のサーモカメラによる検温をはじめ、各施設に消毒液入りのボトルを置き、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を確保する目印もあちこちに。木彫りや刺しゅうなど指導が「密」につながる体験も開業当初は見送り、入場者数も博物館が常時100人など低めに設定した。
体験学習館では調理体験ができない代わりに、紙人形劇でアイヌ語に親しみながら、伝統的な食材や調理法を解説。札幌市の小学生、永井悠希子さん(12)は「『サケの目玉を食べる』って半信半疑」と目を白黒させつつ「またウポポイに来て、料理を作りたい」と目を輝かせた。
博物館は常時100人など入場制限を厳しくする一方、手続きが施設ごとに異なり困惑する人も。体験交流ホールや工房などは当日整理券を配ったが、配布時間は内容によって「上演30分前」「随時」などまちまち。整理券目当てに行列ができたり、入場を諦めたりする姿が相次いだ。
特に博物館はウポポイの入場申し込みと別途、入館希望時間をオンラインで事前に申請する仕組みだが、ウポポイの入場予約のみで入れると思った人も。札幌市の川西大吾さん(50)は「博物館も予約が必要とは知らなかった」と入れずにがっかりしていた。