商店街へ観光客誘導が課題 「にぎわい」線路の向こう ウポポイ開業も 入り込みつながらず

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  • 2020年7月13日
ウポポイが開業しても、人の入り込みが少なかった大町商店街

  白老町で民族共生象徴空間(ウポポイ)がオープンした12日、ウポポイにほど近い大町商店街は観光客がほとんど流れず、飲食店などから「期待外れ」と落胆する声も聞かれた。大町商店街地域は白老を代表する商業エリアだけに、ウポポイを生かした地元経済振興に向けて観光客誘導の対策が求められている。

   大町商店街で昨年秋にオープンしたカフェ・雑貨の店「ラナピリカ」(佐々木美保店主)。ウポポイ効果を期待して創業し、いよいよオープンとなったこの日、客を待ち構えていたが、「ちょっと思い通りにはいかなかった。商店街に人の流れをつくる対策が必要ではないか」と佐々木店長。同店の近くにある大町食堂(杉本健一社長)は日曜日を定休としているが、来店を期待して店を開け、アイヌ民族伝統料理オハウ(汁物)の定食を用意していた。しかし、杉本社長は「さっぱりの結果。観光客とみられる車が商店街通りを通過するだけだった」と肩透かしを食った。

   ウポポイ開業に合わせ、大町商店街につながる通りの同町東町でアイヌ伝統工芸制作のアトリエを活用し、カフェを開いた水野練平さんも「客の入りは鈍かった」と言う。

   大町商店街はJR白老駅前の通りにあり、線路の北側地域に整備されたウポポイから近距離にある。商店街の店舗でつくる白老商業振興会は、アイヌ文様風デザイン店舗看板を各店に取り付けるなど、来町する人たちの受け入れ環境を整えたが、久保田修一理事長は「人通りはいつもと変わらなかった」とがっかりした表情を浮かべた。

   入り込みが少なかったのは、ウポポイ見学の人たちに大町商店街の認知度が低かったせいもある。同施設は新型コロナ対策で入場者数を制限する事前予約制を採用しているものの、オープン初日は2068人が来場し、一定のにぎわいを見せた。だが、線路の向こう側にある大町商店街の存在を知る観光客は少なく、ウポポイ見学後に立ち寄る人はまばらだった。

   町は大町商店街や白老駅前に停留所を設けた交流促進バスをウポポイ開業の12日から運行したが、乗客は少なく、誘導に至らなかった。

   白老の”顔”とも言える白老駅前の大町商店街の再生は、地域活性化を図る上で欠かせないものの、ウポポイ見学者をどう誘導するかが、行政や経済関係団体にも改めて問われる結果に。ウポポイを生かした商業観光振興に向けては、従来の通過型から滞在型観光へ変えていく必要性もある中で、同振興会の久保田理事長は「スタンプラリー的なイベントを計画したり、商店街PRマップを作ったりするなどアピールの方策を考えていきたい」としている。

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