ウポポイ内覧会 アイヌ伝統舞踊、映像で華やかに演出

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  • 2020年7月10日
ステージで伝統舞踊を披露するスタッフら
ステージで伝統舞踊を披露するスタッフら
樺太アイヌの伝統楽器トンコリを説明し、演奏も行った
樺太アイヌの伝統楽器トンコリを説明し、演奏も行った
伝統的な家屋(チセ)が並ぶ敷地内
伝統的な家屋(チセ)が並ぶ敷地内

  12日に開業する白老町のアイヌ文化発信拠点、民族共生象徴空間(ウポポイ)で9日、報道関係者向けの内覧会が開かれた。新型コロナウイルス感染予防の一環で、再構築した体験交流プログラムをお披露目。映像と連動したアイヌ伝統舞踊や儀式をはじめ、伝統楽器の演奏や歌などを公開。コロナ禍でもアイヌ文化の魅力を伝えようと、ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団の職員らが準備を整えている。

   コロナ対策で入場を事前予約制にした上、施設やプログラムごとに入場制限や所要時間を徹底。密閉、密集、密接の「3密」を回避し、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保した。指導者が密接に関わる楽器の演奏や工芸品の制作、調理、民族衣装の試着など各体験は開業当初できないが、「見る」「聞く」を中心に体験交流プログラムを再構築した。

   内覧会ではアイヌ伝統舞踊や儀式などを体験交流ホールで披露した。半円形のステージ上や後方の壁に、踊りの場面に合った映像を流し、歴史や情景などが伝わるように演出。帯広地方の鶴の踊り「サロルン リムセ」では雪が舞う景色を投影。また、口琴「ムックリ」の演奏時には揺れる木々、さらに熊の霊送り「イヨマンテ リムセ」の踊りの際には昔の儀式の様子などが映し出され、見る人をアイヌの世界にいざなった。

   コロナ対策で当初は屋外の上演を予定していたが、道内の感染状況が落ち着いていることを踏まえ、入場者を定員の3分の1以下の約130人に絞ってホールで上演する。

   体験学習館でも伝統楽器「トンコリ」の演奏などを展開し、若手職員がフチ(おばあさん)から教わったという歌「ヤイサマネナ」の披露では、マスク姿で透明の間仕切り板の前に立って歌声を響かせた。

   ポロト湖畔のチセ(家)4棟のうち、3棟は現在の建築基準法にのっとって建てており、屋内に入ってアイヌの生活空間を感じられるようにした。

   ウポポイは1日当たりの入場者数を平日2000人、土・日曜や祝日は2500人に設定。中核施設の国立アイヌ民族博物館も1時間ごとに100人ずつ、平日は1000人、土・日曜や祝日は1200人を上限とする。

   對島一修ウポポイ運営本部長は内覧会あいさつで、「国や道の方針に沿ってコロナ対策を講じながら準備し、若いスタッフが伝承者の指導を受けながら作り上げている。アイヌの歴史、文化を知ってもらえれば」とアピールしていた。

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