九州、四国、近畿、東海と記録的な大雨が続いている。氾濫する河川や冠水した道路、広範囲な浸水。各地で尊い命を奪った惨状、甚大な被害に息をのむ。集中豪雨をもたらしたのは線状降水帯。広域的な大規模水害が頻発するようになった近年、よく耳にするようになった。自然の脅威はこれまでの常識をいとも簡単に打ち破る。
過去に胆振東部、石狩南部で何度か「記録的大雨」の真っただ中を取材した。何かあってもいいようにと原色系の目立つかっぱ姿に、カメラはぬれないようビニールでぐるぐる巻き。ダムの放流警報が不気味に響く中、堤防ぎりぎりまで増水した濁流を目の当たりにし、ゾッとした記憶もある。
新聞記者として現場に行かない選択肢はなかったが、まるで「川を見に行く」という行為は、命を守る行動とは真逆。振り返れば、安全を確保していたつもりでも、基準は自身の経験則が大きかった。万が一にも何かがあれば、きっと批判されたと思う。災害は想定を超えた時に、被害が大きくなる。さすがにこれは経験で学んだ。
苫小牧市は今年度、新たな洪水ハザードマップを作成する。最大の水害リスクを市民に伝えるため、降雨の想定を百年に1度から、千年に1度に拡充する。国や道の考え方に基づく見直しだが、苫小牧は細かい河川が多く、恐らく想定も限界がある。身を守る行動を常に意識したい。(金)