子どもたちに読んでほしい本として、苫小牧市教育研究会学校図書館教育研究部会が選定した「2020年度苫小牧子どものための選定図書」。今年度新たに加わった20冊の中から18冊を同部の会員が紹介する。(毎週月、水曜日に掲載します)
【小学校低学年向け】
「まいごのしにがみ」
作 いとうみく/絵 田中映理
死に神(しにがみ)と聞くと、あなたはどんなイメージを浮かべますか?
ある日、「ぼく」が出会った死に神は、黒いスーツにメガネを掛けた、痩せっぽちのおじさん。迷子になったと、頭をペコペコ、ハンカチでおでこを拭く姿は何ともユーモラスで、フツーのおじさん。しかし、この死に神は不思議な力を持っていて―。
読み手と同年代の「ぼく」と死に神2人で進むストーリーは、テンポよく、次へ次へとページをめくりたくなることでしょう。
また、1ページ内の文字数が少なく、学齢に合わせた漢字には、読み仮名が付いているため、1人読みにもピッタリです。
迷子になった死に神と、道案内したぼくは、思わぬラストを迎えます。結末が気になる人は、ぜひ、手に取ってみてください。
(理論社 税込み1320円)
苫小牧市立澄川小学校
高取有子
【小学校低学年向け】
「のら猫のかみさま」
作 くすのきしげのり/絵 狩野富貴子
野良猫は、小さな頃から、たった一人で生きてきた。人に追われ、犬に追われながら、命懸けで生きてきた。何も信じず、誰も頼らず、自分一人の力で。
年老いた犬は、そんな野良猫が恐る恐る自分の餌を食べに来るのを知っていた。ある時、野良猫は、気が付いた。子猫たちを連れて来るようになってから、残っている餌が多くなったことを。
「かみさまなんていない」と思って生きてきた野良猫は、神様に出会い、泣いた。どんな思いで、涙が枯れるまで泣いたのだろう。
年老いた犬の深く温かいまなざしと野良猫の心を震わせ願う純真さが、心に残ります。相手を思う優しさは、人から人へ未来に引き継がれてく。そんな希望を感じる一冊です。
(金の環会 税込み1540円)
苫小牧市立明野小学校
高橋清子