背骨

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年7月4日

 アイヌの国つくりの言い伝えにはヤナギやスズメなどの動植物が登場する。角川文庫の金田一京助・荒木田家寿著「アイヌ童話集」に所収されている。

 大昔、国つくりの神と姉神が黒い雲を踏んで岩をつくり、黄色い雲を踏んで土をつくり、次は人間をつくる段になって「背骨を何でつくるか」を天上の神様に相談することにした。スズメの神を呼んで天上へお使いに出すと、昼寝中だった天上の神は「地上にたんとあるヤナギの木がよいぞ」と答えた。しかし、目覚めてよく考えると「ヤナギの木では弱い。強い石が一番よい」と思い直し、カワウソの神に伝えるよう命じた。カワウソは道草を食う癖があるので戒めたが案の定、用事を忘れて遊んでいた。下界を見ると、国つくりの神はもう、ヤナギで盛んに人間の背骨をつくっていた。「だから人間は今でも年を取ればヤナギのように腰が曲がり、おいぼれて死ぬ。そのかわり、後から後から若いものが生まれてくるのです」

 北海道の背骨ともいわれる日高山脈北部に、エサオマントッタベツ岳という山がある。カワウソはアイヌ語でエサマン。全国で絶滅したとされるカワウソはアイヌの昔話と山名の中に生きている。

 そうだったのかと思いながら痛む腰をさすり、荒れる肌に納得する。雪の残る季節に猫のような手触りの銀色の芽で人を喜ばせ、真っ先に若草色の葉を広げて見せるヤナギの若々しさにも納得。(水)

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