テレビにパソコン、電話機、時計、CDケース、化粧品のふた…部屋の中を少し見渡しただけでも身の回りにプラスチック製品があふれていることが分かる。軽くて丈夫、安価で腐らないという便利さが、私たちの生活の中に深く溶け込んでいる。
それとは裏腹に今、海に流出する海洋プラスチックが大きな問題としてクローズアップされている。その量は年間800万~1000万トンとジャンボ機5万機分に相当するというから驚きだ。このままでは30年後に重量ベースで海中の魚より海洋プラスチックの方が上回ってしまうと英国の調査機関が警鐘を鳴らす。
昨年6月のG20大阪サミットでは、首脳宣言で海洋プラステチック対策の枠組み構築で合意し、この問題の深刻さを改めて浮き彫りにした。最近は海に流れたプラスチックが波の力に砕かれ、紫外線を受けて5ミリ以下の目に見えにくいマイクロプラスチックの存在も問題視され、海洋汚染だけでなく、魚や鳥など生態系への影響も心配されている。
政府は、プラスチック削減のため、7月1日から買い物用レジ袋を有料化する。ただ、レジ袋は国内で使われるプラスチック全体の2、3%にすぎないというから、効果は決して大きくはない。有料化が削減につながるのか疑問も残る。私たちが今、必要なのは周囲に負荷をかけず、健康に生きるための環境教育なのだと思う。(教)