オンライン授業やテレワークの導入が進んでいる。この影響で、まちなかの人影は少しずつ減っていくのかもしれないが、家でも学び、働ける生活スタイルへの考えは新型コロナウイルスの流行前からあり、事態の収束後も徐々に進むのだろう。
外出しなくても生活が成り立つ社会は、少なくとも40年ほど前に考えられていた。当時、少年と長髪の美女が宇宙を走る列車で旅をするアニメ「銀河鉄道999」が週1回、テレビ放映されていた。この話の中に、まちなかに人けがなく、人々は家にいて食べて寝るだけの生活をしている「なまけものの鏡」という星が描かれている。
家にずっといても食べていけるのは仕事がすべて機械化されたから、という設定だった。放映時、記者は10代。機械が何でもしてくれる社会は近い将来、実際に来ると思えた。便利な暮らしをあれこれ妄想したので、一度見ただけの話を忘れなかったのだろう。
少年が出会ったこの星の1人は怠け者生活を捨て、汗を流して働ける別の星に行こうと決心する。私たちは家にいてもすることがあり、アニメとは違うが、いつかもて余すほど自分の時間を得られたら。出掛けるような用事がなくなってしまったら。人との距離が思う以上に広がったら。犯罪、健康維持、少子化、孤独死などへの影響が頭をよぎり、生活スタイルの変わり目に大切なことを見落としていないか心配になった。(林)