(6) オンライン申請 3密回避も浸透には時間

  • 変わる日常 コロナ新時代, 特集
  • 2020年6月29日
特別定額給付金のオンライン申請の内容と、住民基本台帳のデータを目視で確認する苫小牧市職員

 オンライン申請がにわかに注目されている。インターネットの専用サイトなどで極力人を介さずに申し込みができるため、新型コロナウイルス感染予防の3密(密閉、密集、密接)の回避策として推奨されている。国の緊急経済対策で全国民に一律10万円が支給される「特別定額給付金」でも、郵送かオンラインの申請かを選べるようにした。ただ、オンライン申請には課題もあり、個人認証に必要なマイナンバーカードの普及が進まない現状からも市民生活に浸透するにはまだ時間がかかりそうだ。

 苫小牧市は5月11日に特別定額給付金の受け付けを始めたが、オンライン申請には課題が目立った。初日から、市役所1階のマイナンバーカードを所管する窓口に市民が殺到。オンライン申請に必要な同カードの暗証番号入力を繰り返し間違えてロック状態(利用停止)になると、解除は各自治体でしかできなかったためだ。

 マイナンバーのシステムを運営する地方公共団体情報システム機構のシステム停止も重なり、「密」を避けようと職員が再来庁を呼び掛ける事態に発展した。

 申請内容の審査については、郵送よりもオンラインの方が手間取った。郵送は市が住民基本台帳(住基)に基づき、世帯構成などを記載した申請書を各家庭に送付し、市民が返送する流れ。オンラインの場合、専用サイトの所定の様式に市民がすべて入力するため、市が改めて申請内容を1枚ずつ印刷した上、住基データと目視で照合する作業が発生した。入力に不備があっても申請が完了してしまう事例もあった。

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 苫小牧市は対象世帯約9万世帯の1%に相当する、約1200世帯がオンライン申請を利用した。利用者は給付金の早い受け取りを期待したと思われるが、オンライン申請者に入金が始まったのは6月1日から。郵送申請者には最短で5月22日から入金されており、オンラインの方が支給が遅れた。

 同様の事態は全国各地で発生し、オンライン申請を断念する自治体も相次いだ。本来、手続きの簡素化や迅速化、チェックする側の省力化など長所は多いはずだが、今回の給付金については国の制度設計も甘く、短所ばかりが目に付く結果となった。市情報推進課は「今回の給付金でオンライン申請に悪い印象を持たれないか心配」と懸念する。

 市は国の住基ネットカード事業と連動し、2006年度にオンライン申請を導入。行政手続きのオンライン化を推進してきた。現在は国のマイナンバーシステム改修に対応し、住民票交付や水道使用中止届け・使用開始申請、児童手当の認定請求など計27業務でオンライン化が図られている。

 ただ、利用は伸び悩んでいる。市は17年10月から児童手当の請求や保育施設の利用申し込み、妊娠の届け出など、子育て関連の申請12件をオンライン化したが、20年6月時点で利用は1回もない。利用に必要なマイナンバーカードの交付が5月末現在で、約2万9000人(交付率17%)と低迷していることが主因とみられる。今後、介護保険や引っ越しの各手続きのオンライン化を視野に入れるが、同課は「費用対効果や市民ニーズを考えると慎重な対応になるだろう」と話した。

 (河村俊之)

  オンライン申請

 窓口などに出向いて書面で行っていた申請や届け出などを、インターネットで受け付けるサービス。申請者の個人認証の際、電子証明書機能を持つマイナンバーカードなどが必要になることもある。

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