「106万円の壁」撤廃へ パートらの厚生年金加入―社保審部会

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  • 2024年11月16日

  社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の年金部会は15日、サラリーマンに扶養されるパートら短時間労働者を対象にした厚生年金の加入要件の見直しを議論した。自民、公明両党と国民民主党の3党で「年収の壁」を巡る協議が本格化する中、保険料負担が生じる「年収106万円の壁」を撤廃する方向でおおむね一致した。

  厚労省は3党の協議を踏まえた上で、年末までに改革案をまとめ、2025年の通常国会での法改正を目指す。

  パート労働者は、16年10月から一定の条件付きで厚生年金の加入対象になった。老後の年金額を手厚くするのが狙いで、(1)従業員が51人以上の企業に勤務(2)週20時間以上働く(3)月額賃金が8万8000円(年収換算約106万円)以上―などの要件を全て満たす必要がある。

  このうち、賃金要件は「106万円の壁」と呼ばれ、パートらが保険料負担を避けるため、働く時間を抑制する要因とされる。

   部会では最低賃金が来年にも全都道府県で時給1016円以上になり、賃金要件が事実上解消されることから「次期制度改正で撤廃すべきだ」との意見が相次いだ。厚労省は経過措置を設けて企業規模要件もなくし、週20時間以上働けば、年収を問わず厚生年金に加入する案を検討する。

  厚生年金加入で手取りが減ってしまうパートらもいるため、厚労省は労使折半の保険料負担割合を変更できる特例措置の導入案を提示。労使合意で企業側の負担割合を増やし、パートらの負担軽減につなげる。

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