今回は健康診断で実施される視力検査と眼圧検査についてお話しします。
当センターでは左右片方ずつ視力を測定し、裸眼視力もしくは眼鏡やコンタクトレンズで矯正した矯正視力のどちらかで結果を出しています。
視力検査の数値が低下する場合、近視や乱視などの屈折異常や、白内障や緑内障といった目の病気なども考えられますが、一時的に視力が下がる要因として、パソコンやスマホなど電子画面を長時間見続けるような目に負担をかけること、寝不足などの眼精疲労状態も影響します。そのため健診時の視力測定値だけではなく、普段の日常生活の中での見えにくさ、不便さなども併せて見ていくとよいでしょう。
視力測定をする際に、「眼鏡を持っていますが掛けた方がよいですか?」という質問がよく聞かれます。会社との特別な契約などではない限り、通常の健康診断では「5メートル視力」といって目から5メートルの位置に視標を提示した視力がどれくらいかを測定する検査を行います。手元ではなく遠くを見るときに、いつもご自分がどういった条件で見ているか、裸眼なのか眼鏡を掛けるのか、によって判断されるとよいでしょう。
よく分からない場合は、普段使用されている眼鏡をお持ちいただくと、検査するスタッフと相談して検査することができます。また、レンズも遠くと手元両方が見えるように作られたものもあります。その場合、視標をのぞくときに遠くが見やすい位置にレンズを調整していただくと、遠方としての矯正視力をより正しく測ることができます。
次に、眼圧検査について紹介します。眼圧検査とは、角膜に空気を当ててへこみ具合から眼圧の数値を出す目の硬さを調べる検査で、裸眼であればいつでも行うことができます。
数値が高い=目が硬い場合、緑内障という目の病気の可能性が考えられます。緑内障は進行すると失明にもつながる重篤な目の病気です。ただし、日本人の緑内障患者のうち眼圧が正常値である方が7割を占めますので、正常値だからといって緑内障の可能性を否定できるわけではありません。その場合、視野が欠けていないかを調べる視野検査、視神経の状態などを見る眼底検査などを行って緑内障の有無を確認していきます。緑内障の診断には病院での詳しい検査が必要です。40歳以上では20人に1人がかかるともいわれている病気ですから、ぜひ機会をつくって調べてみてはいかがでしょうか。