【エルサレム時事】パレスチナ自治区ガザで発効した停戦を受け、イスラム組織ハマスは19日、2023年10月の奇襲でイスラエルから拉致した人質の女性3人を解放した。イスラエルのネタニヤフ首相は「この瞬間はイスラエルの英雄の犠牲と戦闘により実現した」とたたえた上で、人質全員の帰還を含め「全ての戦争目的をわれわれは達成する」と強調した。
イスラエル首相府によると、解放された女性らは24歳、28歳、31歳。ガザでハマス戦闘員から赤十字国際委員会(ICRC)に引き渡された後、イスラエル軍と共に同国内へ戻り、家族と再会した。軍は3人が家族と喜び合う写真も公開。病院で今後詳細な検査を受けるが、いずれも健康状態は良好とみられる。
ガザで19日発効した停戦は、ハマスによる解放予定の人質リスト提出が遅延し、当初予定より3時間近く開始が遅れた。イスラエル軍報道官は19日の記者会見で「遅延によりハマスの軍事インフラや武装テロリストを空爆した。合意からの逸脱は許さない」と強硬姿勢を示し、ハマスに合意順守を強く求めた。ハマス軍事部門も、イスラエルに停戦を履行させるよう合意仲介国に要求した。
停戦合意では第1段階として戦闘を6週間停止。イスラエルで収監中のパレスチナ人釈放と引き換えに、女性や子供ら人質33人が解放される予定だ。ハマス幹部の1人はAFP通信に対し、次の人質解放が25日夕に行われるとの見通しを明らかにした。
カタールなどと共に停戦合意を仲介したバイデン米大統領は19日、「多くの苦痛、破壊、人命の損失を経て、きょうガザの銃声がやんだ」と歓迎。合意履行はトランプ次期政権に託されると述べ、「成功には粘り強さや抑止力に基づく外交への信念が必要だ」と訴えた。