白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)体験学習館別館3号館で、展覧会「森を生かす、アイヌ文化継承のいま~北海道平取町~」が開催されている。アイヌ文化の継承・発展を目的に、平取町で取り組まれているシマフクロウが生息できる森づくりの内容が紹介されている。29日まで。
平取町では、豊かな自然環境から育まれたアイヌ文化を次世代に引き継ぐため、アイヌ語で「コタンコロカムイ(村を司る神)」とされるシマフクロウがすめる森づくりを目標に掲げ、「21世紀・アイヌ文化伝承の森プロジェクト」を平取アイヌ協会や道森林管理局と進めている。
具体的には生物多様性のある森づくり、伝統文化の再生と人材育成などで、展覧会では内容をパネルや大型モニターの映像で説明。巣箱の設置、餌となる魚類の生息調査、河川の魚の通り道の整備などについて様子や成果を知らせている。チセ(家)造りの第一人者、尾崎剛さんやオヒョウニレの樹皮を原料とするアットゥシ織の職人貝澤雪子さんの人物像も紹介。身近にあるものを活用した家造りや民具に関する文化を伝えている。
町内で製作された民具として、イタ(盆)や祭具のイクパスイ、センノキで作ったチプ(丸木舟)なども会場に並べている。
主催は、ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団と平取町アイヌ文化振興公社。ウポポイの地域連携事業としては、2023年度の釧路市阿寒湖畔地域との事業に次ぐ第2弾。本展を担当する同公社主任の木村美咲さん(33)は「アイヌ文化を継承し、現代に息づかせるためにも(文化の基盤の)森の保全が大切。展示を通して精神文化は生活に宿るという思いを皆さんと共有したい」と話している。
観覧無料(入場料は別途必要、町民はパスポートがあれば不要)。21、26日は同公社職員が会場に常駐し、希望者への解説に応じる。展示に関する問い合わせは同公社 電話01457(2)2152。