【北京、ワシントン時事】中国外務省によると、習近平国家主席とトランプ次期米大統領が17日、電話会談した。今後の米中関係について協議し、「戦略的な意思疎通チャンネル」を構築し、共通の関心事についての対話を維持していくことで合意した。ロシアが侵攻を続けるウクライナ問題や中東情勢についても意見交換した。
習氏は「新大統領の下で両国関係が良いスタートを切るよう期待している」と強調。一方、台湾問題に関しては「米国が慎重に対処するよう望む」と述べ、武器供与などを通じた台湾への関与にくぎを刺した。米中間の貿易戦争は回避すべきだと訴えた。
トランプ氏も自身のSNSに「米中双方にとって非常に良い会談だった」と投稿。不公正な貿易のほか、合成麻薬、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などについて協議したと明らかにした上で「多くの問題を共に解決することを期待している。すぐに始めよう」と強調した。
中国としては、対中強硬姿勢を示すトランプ氏の就任を20日に控え、早期に次期政権との意思疎通を確立したい思惑があったとみられる。中国外務省は17日、就任式に習氏の特別代表として韓正国家副主席をワシントンに派遣すると発表したばかり。過去の大統領就任式では駐米大使が出席してきたが、異例の高官派遣に踏み切ることで、トランプ次期政権との安定した関係構築に前向きな姿勢を示した。
トランプ氏は、対中関税の大幅な引き上げを明言。新政権の閣僚らには対中タカ派を多く指名しており、通商・外交面での対立激化が予想されている。トランプ氏は一方で、選挙戦直後からさまざまな手段で習氏と意思疎通していると語っており、中国側とのディール(取引)に意欲を示してきた。