高齢就労者の年金減、月62万円から 26年4月に基準引き上げ―政府

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  • 2025年1月18日

  政府は17日までに、一定の収入を得て働く高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金制度」について、年金の減額が始まる基準額(賃金と年金の合計)を、現行の月額50万円から62万円に引き上げる方針を固めた。2026年4月からの実施を目指し、24日召集の通常国会に提出する関連法案に盛り込む。

  高齢者の働く意欲を高め、企業が抱える人手不足の解消につなげる。

  在職老齢年金は、賃金と厚生年金の合計が基準額を上回った分の半額を減らす仕組み。例えば賃金が45万円で厚生年金の受給額が15万円の場合、合計額は60万円となるため、超過した10万円の半額(5万円)は受け取れない。基準額が62万円に見直されると、満額受給できる。

   働きながら年金を受給する65歳以上の高齢者は22年度末時点で約308万人に上り、就労意欲をそいでいるとの指摘があった。基準額を62万円に引き上げると、満額受け取れる人は20万人増える見通し。

  基準額引き上げによる給付増で年金財政が悪化するのを避けるため、現役世代の高所得サラリーマンが納める厚生年金保険料の上限も引き上げる。保険料を計算する基礎となる「標準報酬月額」の上限を27年9月に現在の65万円から75万円に上げる。年金財政の安定につながり、高所得者が将来受け取る年金額も増える。

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