書家で亡夫の臨書教本80冊譲渡 「書と向き合う人に」 白石さん 白老

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  • 2025年1月10日
利夫さんが残した臨書教本の一部
利夫さんが残した臨書教本の一部
生前の白石利夫さん(2022年ごろ、提供)
生前の白石利夫さん(2022年ごろ、提供)

  白老町末広町3の白石芳子さん(85)は、昨年6月に91歳で亡くなった夫で書家の利夫(雅号=岳陽)さんが残した臨書教本約80冊を「書と向き合う町民に無償で差し上げたい」と申し出ている。古文書や碑文の字形を記録した書物で、書を学ぶ上で手本となる。

   教本の多くは、書道など東洋美術の専門出版社、二玄社が発行した「中国法書選」シリーズ全60巻。古代王朝の殷周(いん・しゅう)時代に見られた甲骨文字や金文に始まり、清代の呉昌碩集まで数々の模範の文字を網羅する。雄山閣出版が発行する「木簡字典」や刻字に関する書や中国東晋時代の著名な書家王羲之の「集字聖教序」「蘭亭叙」を大きい字で収録した書籍もみられる。

   利夫さんは、約40年前に町末広町5の書家佐藤政憲(翔雲)さん(79)が会長を務める書の結社「一葦(いちい)会」に入門。町内にあった総合化学系企業を定年退職後、臨書教本も活用し、本格的に書に打ち込んだ。日本書道アカデミー師範として自宅で週1回、書道教室を開いて子どもたちに指導も行い、まちの書道文化向上に貢献した。

   毎日書道展会友や国際現代書道展会員としても活躍し、2010年には白老町文化団体連絡協議会の功績賞を受賞。佐藤さんは「社中創立時の最古参の一人。紙に筆で書く以外に、木に書いた字を彫る『刻字』の制作にも熱心な方だった」と在りし日をしのぶ。

   芳子さんは「できれば若い書道家に差し上げたいと考えている」と話し、譲り受けたい人の連絡を待っている。問い合わせは白石さん 電話0144(82)3806。午後4時~同8時対応可能。

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