「TKB48」という言葉を聞いたことがあるだろうか。人気女性アイドルグループの名前ではない。防災面で注目されている言葉だ。「T」はトイレ、「K」はキッチン=食事、そして「B」はベッドのアルファベットの頭文字をつなげたもので、48は48時間を表している。
万一災害が発生した場合に、避難所に「TKB」を48時間以内にそろえることで、災害関連死を防げるという目標でもある。防災面で先進国のイタリアでは、この「TKB」の備蓄を法律で義務付けている。だから、災害発生時には各避難所に、迅速にこの「TKB」が設置される。しかも、職業ボランティアが動く。
日本のように長時間にわたって体育館ような施設で避難所生活を送るようなことはほとんどない、という。避難所の運営者も被災者ではなく、ほかの地域から駆け付ける。こうした仕組みが出来上がっていることは大いに参考にしたい。
今年1月に発生した能登半島地震による関連死は255人。直接死を上回っている。「TKB」を迅速に備えれば、こうした関連死の何人かは救えたのかもしれない。それにしても、被災地の復旧や復興の遅れが目立つ。石川県で建物の公費解体率はまだ約30%。間もなく1年を迎えるのに。深いため息が出る。 (昭)