過去最大115・5兆円 社会保障、防衛、国債費が膨張―石破政権で初、来年度予算案閣議決

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  • 2024年12月27日

  政府は27日午前の臨時閣議で2025年度予算案を決定した。一般会計総額は115兆5415億円と2年ぶりに過去最大を更新。社会保障費や防衛費、国債費が最大規模に膨らんだのが主因で、3年連続で110兆円を超えた。新型コロナウイルス禍で拡大した予算規模の「平時化」には程遠い。

  石破政権による当初予算の編成は初めて。政府は予算案を年明けの通常国会に提出するが、少数与党下で年度内成立に向けた展望は描けておらず、今後の与野党協議で増額修正を迫られる可能性もある。

  歳出の3割を占める社会保障関係費は過去最大の38兆2778億円。薬価の引き下げや高額療養費制度の見直しを進めて経費を抑制するが、少子化対策や高齢化の進展が影響し、24年度当初比1・5%増となる。厳しさを増す安全保障環境を受け、防衛関係費は9・5%増の8兆6691億円と最大を更新する。

  借金である国債の償還や利払いに充てる国債費も4・5%増の28兆2179億円と5年連続で過去最大となる。日銀の利上げに伴う長期金利の上昇基調を反映し、利払い費の算出に使う想定金利を24年度の1・9%から2・0%へ見直したためだ。

  自治体に配る「地方交付税交付金等」には過去最大の19兆784億円を充てる。

  石破茂首相が重視する政策では、地方創生交付金を2000億円に、「防災庁」新設を視野に入れた内閣府防災担当予算を146億円にそれぞれ倍増させた。成長戦略の柱の一つである半導体・人工知能(AI)産業支援では、最先端の半導体の量産を目指すラピダス(東京)への出資に1000億円を計上する。

  歳入面は、税収が物価高と好調な企業業績を背景に過去最高の78兆4400億円に増えると見込む。財源不足を補うための新規国債発行額は28兆6490億円となり、当初予算ベースで17年ぶりに30兆円を下回る水準に減少。結果として国債依存度は24・8%と27年ぶりの低水準となるが、予算の4分の1を借金で賄う構図となる。

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