豪聖山 飛躍に期待 北海道栄高校相撲部出身 恩師の高山教諭「番付、駆け上がって」

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  • 2024年11月14日
来日時の(左から)豪聖山と高山監督=2022年4月、成田空港(提供)
来日時の(左から)豪聖山と高山監督=2022年4月、成田空港(提供)
豪聖山(左)と武隈親方(中央)(提供)
豪聖山(左)と武隈親方(中央)(提供)

  北海道栄高校相撲部出身として最初の大相撲力士となった豪聖山(19)=本名バータル・ムンクオド、モンゴル出身、武隈部屋=が九月場所(東京・両国国技館)で7戦全勝で序ノ口優勝を決めた。けがのため5日目の14日から途中出場した九州場所(24日まで、福岡国際センター)では番付を上げ、東序二段5枚目での取り組みを迎えた。高校時代に指導した同部監督の高山和典教諭(38)は「もっと上を目指して、番付を駆け上がってほしい」と教え子にエールを送る。

   豪聖山はモンゴル・ウランバートル出身で2022年4月に来日した。コロナ禍の影響で来日が遅れ高校2年からの編入。高山教諭は「マット上でしか相撲を取ったことがなかったから素人くさかったけど、思った以上に強かった」と当初の豪聖山の印象を語る。来日のわずか1カ月後に出場した全国高校相撲金沢大会では持ち前のセンスの良さを発揮し、同校の団体戦3位に大きく貢献した。

   当初、日本語はほとんど話せなかったが「授業で板書を写す文字を日本人よりきれいに書いていた。真面目で優しい性格だった」と高山教諭は振り返る。「飯を食わせなきゃいけない競技だから、食事を削ったら育たない」と監督自ら豪聖山含めて7人いた部員全員の食事を作り、生活面も全力支援した。相撲の技にも磨きを掛け、来日時110キロの体重は今年の卒業までに約40キロ増えた。

   卒業後は紹介した武隈部屋(武隈親方=元大関豪栄道)に入門。高山教諭は親方と埼玉栄高相撲部の同期で、もともと外国人力士を採らない方針だった親方が直接学校を訪れ、豪聖山の稽古に向き合う姿勢を高評価。「『性格もいいし、厳しいところで育った子が欲しい』と親方が即決した」と言う。しこ名は豪栄道の「豪」と教諭の名字、高山の「山」から1字ずつ配して「豪聖山」とした。

   角界でも厳しい指導で知られる武隈親方。高山教諭は学友の親方を信頼し、豪聖山を送り出した。部屋では幕内の豪ノ山(今場所は西前頭8枚目)や幕下力士らとぶつかり稽古を重ねた。「親方からは『すごく真面目に稽古しているし、部屋の幕下相手にもひけをとらない』と聞いている」

   24年7月の名古屋場所で初土俵を踏み、番付デビューの場所となった今年の九月場所では日体大出身の古田(二所ノ関)や幕下経験者の中島(武蔵川)ら強敵を次々と撃破。7番相撲最終日は鶴(藤島)に鮮やかな上手出し投げを決め全勝優勝を飾った。

   先場所の豪聖山について「高校時代から教えてきた頭を付けて、前みつを取る形。出し投げがうまく決まって良かった。さらに強くなったと思う」と評価。快挙の場所後に本人からは弾む声で「優勝しました。勝ちました」と連絡があったという。「プロの世界だから一にも二にも相撲のことを考えて、さらに番付を駆け上がっていってほしい」。高山教諭は教え子の躍進を願っている。

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