6 命を守る性教育 大人のタブー意識

  • 特集, 記者ノートから2024
  • 2024年12月19日

  日々、さまざまなニュースを扱っているが、個人的に関心を寄せていることの一つが性教育だ。約4年前、当時大学2年生だった1人の学生の取材を通して自身の性教育に対する知識の浅さや偏った考え方に気が付き、それから積極的にこのテーマと向き合ってきた。

   その中で、今年は画期的な出来事があった。開成中学校で行われた教職員や保護者向けの研修と、苫小牧西高校で2年生を対象に行われた性教育講演会で、実物のコンドームを使った学びの時間が持たれたのだ。開成中では市内の助産師中田知穂さんの手ほどきで受講者が模型に正しく装着するという実習、苫西高では札幌の助産師吉裕子さんの助言を受けながら、生徒が自由に触ってみるという内容だった。

   過去にも講師が取り扱い方を実演して見せるという場面を見たことはあるが、今回は受講者が実際に触れるというのが肝だ。正直に言うと、どちらの取材時にも、コンドームが配られた時に「ドキッ」としてしまった。自分の中にも、「コンドームは人に見せてはいけないもの、いやらしいもの」という性に対するタブー意識があるということだ。頭では理解していても、意識は簡単に変えられるものではないことに気が付いた。

   性教育は命や尊厳、人権や自己決定など、子どもたちの人生の根幹に関わる重要な教育だ。「子どもの性的好奇心をいたずらに刺激したくない」「学校で教えるべき内容ではない」などの意見も聞こえるが、インターネットの普及により、子どもたちが無防備なままに性的な脅威にさらされていることも事実だ。子どもたちが自分を守るための知識やスキルを身に付ける性教育がまち全体で展開できるよう、大人が性へのタブー意識を乗り越えて行動すべき時が来ているのかもしれない。

 (姉歯百合子)

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