保存活動の裏側も紹介  収蔵資料展始まる 国立アイヌ 民族博物館  白老

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  • 2024年12月14日
収蔵資料展で並べられたマンタリ

  白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)で14日から、第7回テーマ展示「収蔵資料展」が始まった。旧アイヌ民族博物館発足以降に集められた資料や寄贈、寄託を受けた資料など計約100点が並ぶ。展示するだけでなく、資料をどのように保管、整理しているかといった視点も加え、特徴ある展示となっている。来年2月16日まで。

   同館は関連資料約1万点を収蔵しており、展示では収集、保管、活用の3部構成で、資料を傷めない保存方法や展示の手法、調査研究の経過などを紹介している。

   目玉は▽今年8月にドイツ・ケルン市のラウテンシュトラウフ=ヨースト博物館から寄託された装身具「ホホチリ」▽アイヌ民族初の国会議員、故萱野茂氏が手掛けたイタ(盆)▽女性の手仕事を中心に技術の習得や伝承に携わり、2023年度文化庁長官表彰を受けた白老町在住の山崎シマ子さん(83)の手による民具マンタリ(前掛け)―など。

   山崎さんが50代に手掛けたというマンタリの文様は、国内文具製造デルフォニックスのメモ帳「ロルバーン」の表紙となり、同館ショップでも販売されている。山崎さんは「メモ帳の表紙になったと聞いてびっくりした。皆さんに使ってもらえたらありがたい」とほほ笑む。

   会場では、資料を保管する収蔵庫の映像、湿度や汚染物質を感知する計器類、捕虫トラップなども並べる。2021年に苫小牧勇払弁天地区の海岸で見つかり現在、奈良県内で保存処理中のイタオマチプ(板つづり舟)2隻についての情報パネルもあり、17世紀ごろの舟であることや27年3月に処理が終わることなどを紹介している。

   佐々木館長は「資料収集や整理、保存など活動の裏側を知ってもらい、館の仕事に興味を持ってもらえたら」と呼び掛ける。29日から来年1月3日までは休館し、2月10日は開館する。

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