ライスワークではなくライフワーク(10) 青谷(あおや) 尚人(なおと)

  • ゆのみ, 特集
  • 2024年12月14日

  前回は補助金を獲得してイベントなどを行ってきたことをお伝えしました。今回は活用した補助金の中で一番思い出に残っているものを報告したいと思います。

   それは今年のことです。アルプス処理水の関係で日本の海産物が中国へ輸入されることが全面廃止となった時がありました。そこで、ホタテの漁業関係者に何か協力できることはないか、例えば鮮魚店で特売でもできないかとアイデアを探しました。

   事務所にいらしていた市議会議員の先生にも相談したところ、後日「あったよ」とご返答をいただき、小中学校の給食にホタテを原料として活用するのであれば、100%出る補助金があることを確認しました。これは市場に利益やメリットは一切ありませんが、ホタテ漁業関係者や、何より市内の小中学生に喜んでもらえるのではないかと考えました。

   50年以上苫小牧市民にお世話になっている市場が市民の皆さまにご恩返しができる社会貢献になると考え、すぐ理事会に決裁を上げて承認を得て、仕入れ先であるマルトマ苫小牧卸売さまのご協力をいただいて、申請準備を始めました。余計な経費はかけないように関係機関と綿密に連絡を取りながら、すべて自分で手続きをしました。

   結果、何とか承認をいただき、苫小牧市すべての小中学校の給食にホタテシチューが配膳されました。当日は、NHKが取材し、市場でも動画を制作したかったので、近くの小学校を訪問しました。小学3年生の教室にお邪魔したのですが、「おいしい」と言っている児童たちの笑顔を見ると、何だか目頭が熱くなりました。

  (海の駅ぷらっとみなと市場元事務局長・苫小牧)

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