◇4 部活動地域移行1年目 指導者確保などに課題

  • 特集, 記者ノートから2024
  • 2024年12月13日

  多くの人が学生時代に経験したであろう「部活」が学校から切り離されようとしている。苫小牧市でも今年度から、国のガイドラインに基づく部活動の地域移行が始まった。目的は教職員の負担軽減のほか、専門性の高い指導を提供するためで、2028年までに完了させる計画だ。

   市教委は今年度、陸上や水泳など個人競技の完全移行と軟式野球、バレーボールといった団体競技の拠点校方式採用を目標に掲げる。以前から地域クラブ活動が盛んな個人競技は順調だが団体競技については思うように進んでいない印象だ。

   比較的進んだ軟式野球は野球経験のある指導者の下、2~3校が合同チームとなり、練習に励む。生徒らは「最初は緊張したが、他校の友達ができてうれしい」「やっとチームを組める9人になった」と喜んでいた。一方、バレーボールは従来の学校単独チームのまま。理由は専門知識を持つ指導者が少ないためで複数校の生徒を集めると手が回らなくなるという。拠点校方式やクラブ化を推進するには、指導者の確保が大きなポイントになる。

   国のガイドラインによると、今後部活動は外部指導者もしくは希望する教員らで指導する方針。しかし、仕事や家庭を持つ大人が、夕方から学校で競技を指導できる時間が十分にあるとは到底思えない。道外では企業が業務の一環で地域の部活動をサポートする事例もあり、互いに有益な関係となっている。

   手探りで始まった地域移行1年目は課題が山積。それでも、生徒の「やってみたい」と教員の働き方改革実現には地域も協力していく必要があると感じている。        (富樫陸)

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