今年4月に入社した私は幼児教育分野や町内会活動の取材を担当しており、未就学児から高齢者まで幅広い年代の市民と触れ合う機会に恵まれた。
記者1年生として取材現場を訪れると皆、勉強不足を責めず、辛抱強く、丁寧に対応してくれた。時には手作りパンや手打ちそばをごちそうになるなど大変かわいがってもらった。
入社1カ月後、幼稚園行事を取材した時は記事を仕上げるのに1時間以上かかったが後日、記事を読んだ園長から電話で「行事の様子がよく伝わる写真と分かりやすい文章でした」と感謝の言葉をもらい、とてもうれしかった。
入社直後は上司や先輩に取材の仕方、記事の書き方を教わりながら目の前の仕事に向き合うことに精いっぱい。やりがいを感じる余裕なんてなかった。それでも今は「頑張る人の支えになりたい」と心から思う。取材先から感謝や励ましの言葉をもらうたび、新聞記者を志してよかったと感じる。
町内会を回ると「若い世代に加入してもらえず、役員の担い手もいない」「これまでみたいに行事を維持していくのが難しい」といった嘆きを何度も耳にした。6月時点で市全体の世帯数9万1065戸に対し、町内会加入世帯は4万7890戸と、5割程度にとどまっている。
自分が小学生の時は、もっと多くの子どもが盆踊りや餅つき大会といった町内会行事に参加していた記憶がある。古里の思い出をつくる行事が衰退していくのは寂しい。
町内会は地域の絆づくりはもちろん、防災や防犯面での助け合いにも欠かせない組織。来年は記者2年生。担当分野を掘り下げ、より強い問題意識を持って取材に臨み、地域住民の生の声を届けたい。
(鈴木十麦太)