冬の釣りはサビキ釣りのチカやキュウリが定番だったが近年、魚影が極端に薄い。苫小牧港・西港の好ポイント、キラキラ公園角地でさおを出す人は少ないながらいるものの、粘って1匹など惨たんたる釣況。寒さが染みる。
西港内の釣りポイントは北埠頭(ふとう)キラキラ公園と入船公園。以前は漁港区や船だまりも好ポイントだったが、数年前から急激に魚影が薄くなった。
すっかり季節らしい気温になった12月上旬、穏やかな午後に両公園を訪ねた。キラキラ公園ではさおを畳んでいた釣り人が1人いて、状況を尋ねると釣果はさっぱり。チカは午前中粘ってようやく1匹釣れただけとか。港内の別の場所で、小さなニシンが「数匹」釣れた情報があるという。
状況は近郊の港も同じで、釣れれば幸運と言われるほど。情報もないとみえて、勇払マリーナも東港・中央水路側もこの日、釣り人はいなかった。
それならとチカの有名ポイントの鵡川漁港に足を延ばしたが、港内は釣り人は皆無。港口に1組いて、「先日、型物のカジカ2匹とカレイが釣れた。きょうも大物を釣ろうと思って」と言う。イソメを餌に船道を探っていた。
過去の同時期を釣り倶楽部紙面で見ると、2023年は「粘って10匹」「15センチが良くて3匹」とやはり厳しい。22年は「日によってむらがあるが10~20センチが0~10匹」でタイミングがいいと2桁釣果だった。
しかし21年の11~12月は「15センチ前後が1桁~30匹」。20年は30~40匹の釣果だ。10年前までさかのぼって14年11月27日付紙面だと「10センチ前後、まれに15センチ。30~400匹」。トップ記事はチカで、「初心者でも1時間に20匹、12~15センチ」の見出しが躍り、写真も3枚使っていた。ほんの10年で隔世の感すらある。
チカは減ったのか、寄らなくなったのか―。道立総合研究機構の栽培水産試験場(室蘭市)に聞くと研究対象でないためデータがなく、分からないとの回答。一方、室蘭エリアの身近な魚類などを調査・展示している「室蘭民報みんなの水族館」は、スタッフが個人的に同じ印象を持っているようで、「チカが生息しにくい環境なのかもしれない。要因としては、海水温の上昇、餌の不足が考えられる」と話してくれた。
チカは室蘭港内でも魚影が薄くなっている。代わりに小から大のサバ、ブリなどが初夏から晩秋まで港内外で釣れている。サバなど青物に追われている可能性も考えられる。同水族館はこの3、4年、チカの個体を確保することがかなわず、展示できていないという。施設側も戸惑っている。
チカは手軽に釣れて刺し身、天ぷら、フライなどでおいしく食べることのできる人気魚。胆振エリアの魚影回復に望みをつなぎたい。