6月12日夜、苫小牧市三光町の道道沿い自転車用道路で、中学3年の男子生徒(15)が自転車で走行中、鉄製ごみステーションの突起部分に接触し、左脚を約15センチ切る大けがを負った。
この事故を同18日付本紙で報じると、市や道が動きだし、事故のあった場所を含め、自転車用道路を緊急点検。安全確保のため同道路からほぼすべてのごみステーションを移動させる再発防止策が講じられた。
少年の近況が気になり、母親を通じて再び、取材を申し込んだ。11月中旬、自宅を訪ねると両脚でしっかり立って出迎えてくれた。寝ていても激痛が走ると話していた半年前に比べると、随分良くなったように見えた。
実際どうなのか尋ねると「歩くとまだ痛いし、しゃがめない」と告白。ズボンの裾を手繰り、すねからふくらはぎにかけての線状の傷に10針以上の縫い目があるのを見せ「一日も早く治したい」と力を込めた。
突然の不幸に見舞われても、前を向こうとする気持ちが伝わってきた。幼い頃から運動が好きで、小学校6年間は札幌のアクターズスタジオでダンスと歌のレッスンを受けた。中学校ではソフトテニス部に所属し、昨年からはトレーニングジムにも通う。事故は部活を引退した直後で「体を鍛えていなかったら、もっとひどかったかも」と前向きだ。
事故の数日後には車いすで通学を再開。痛みがひどくて早退することもあったというが、今は歩いて下校できるまでに回復した。9月の学校祭では1人でステージに立ち、DISH//の「猫」を熱唱し、同級生や後輩の拍手喝采を浴びた。
「人生は長い。これも人生の一部。ポジティブな気持ちでいたい」。過酷な現実に直面しても、くじけない心にエールを送りたい。
(河村俊之)