埼玉県東松山市にある丸木美術館。画家の丸木位里、俊夫妻(ともに故人)が描いた「原爆の図」を見た時、内臓がえぐられるような衝撃を受けた。しばらく動けなかった。ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が核兵器の使用をちらつかせるたび、あそこに引きずっていきたいと思う。広島、長崎は言うまでもない。
ノーベル平和賞の授賞式が10日夜、ノルウェーのオスロで行われる。受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が代表団の旅費をクラウドファンディング(CF)で募ったところ、開始初日に1次目標の1000万円を突破した。「小6です。お小遣いを寄付しました」との書き込みもあったという。
オンラインの被爆証言会を開催している23歳の大学院生が「おめでとうで終わってはいけない」と語る記事も見た。CFの子どもや、これからの時代を担う若い人たちに、授賞式がゴールではないと伝えたい。苫小牧市は道内唯一の非核平和都市条例を持ち、「核兵器のない平和の実現に努力していく」とうたう。授賞式は日本時間のきょう午後9時から。代表団が語る世界へのメッセージにいま一度耳を傾け、どんな小さなことからでも努力を始めなければならない。(吉)