白老町の観光関係者らでつくる白老文化観光推進実行委員会は9日、白老東高校(大木康弘校長)の3年生17人を対象に授業を行った。同実行委は南米パラグアイの事業組合と共同でマテ茶をベースとした新商品開発に乗り出しており、現地との交流を紹介しながら多文化共生や異なる文化を認め合う態度の大切さなどを訴えた。
授業は、家庭科の選択科目「フードデザイン」の一環。同実行委は秋に芸術祭「ルーツ&アーツしらおい2024―白老文化芸術共創」を手掛けたほか、春から秋にかけて台湾やハワイ、イタリアなどで現地の先住民や文化人類学研究者らと交流を果たしてきた。
講師を務めたのは、同実行委文化観光推進プロデューサーの貮又聖規さん(52)。8月22~24日に南米中部域の内陸国パラグアイを訪問し、現地のマテ茶生産者組合「オニョイル」と共同で、白老のエント茶をブレンドしたり、道産牛乳を使ったミルクマテ茶の開発を進めたりしていることを紹介した。
南米で広く愛飲されるマテ茶は、同国最大の先住民族グアラニーから広まったとされる。「飲むサラダ」という異名もあり、肉料理との相性も良いという。一方で白老にはアイヌ民族に伝わる薬草茶エント茶があるほかブランド牛「白老牛」がある。同実行委は、アイヌとグアラニー双方に共通する自然を敬う精神文化を尊重した商品を生み出し、両国で販売することを目指している。
貮又さんは現地の組合員らと交流した動画や写真をスクリーンに投影しながら解説。「これから社会に出て行く上で、自分が育った地域や未来について考えられる大人になってほしい。また互いの文化の共通することや違いを認め合える人になって」と呼び掛けた。マテ茶を試飲した成田初音さん(17)は「すっきりと飲みやすかった。ミルクマテ茶もおいしかった」と話していた。