来年度から活動本格化 ガイドブック作成など計画 陣屋ネットワーク  白老

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  • 2024年12月9日
各市町村間をつなぐネットワーク構想について語り合う参加者(7月)

  白老町など江戸幕末期の北方警備の拠点「陣屋」の跡がある全道20自治体の関係者によって今年7月に組織されたネットワークは、2025年度に本格的に始動する。北海道陣屋跡ガイドブック(仮称)の作成や町と石狩市の陣屋に関する交流移動展の開催を計画しており、仙台藩白老元陣屋資料館の武永真館長は「道内の陣屋について、総合的に理解してもらう機会をこれから随時提供していきたい」と意気込んでいる。

   ネットワークは、町と町教委が町制施行70周年、仙台藩白老元陣屋資料館開館40周年記念事業として、7月に町内で主催したシンポジウムの場で組織された。道内全体で陣屋の存在や意義を底上げしていくため陣屋の研究などに連携して取り組むことを、出席した各地の史跡保全関係者14人が合意した。

   道陣屋跡ガイドブックの作成は活動の手始めとなる予定で、道内の陣屋の場所、建物の構造、果たした役割などのほか、近年の史跡関連情報を発信する内容で構成する見通し。「2025年度北海道遺産仙台藩白老元陣屋魅力向上事業」の一環として取り組み、陣屋跡のある自治体の学芸員20人が執筆を担当し、協働で制作する。実現に向け、年内にプロットの共有などに着手する。

   石狩市との交流事業では、同市から陣屋の関連資料を借り受け、白老元陣屋資料館内に展示。同市の荘内(庄内)藩ハママシケ陣屋研究会の関係者による講演やギャラリートークを企画する。石狩市でも同資料館の史料を展示し、関係者が石狩市に出向いて出前講座として講演をする考え。

   武永館長は「各地と輪のようにつながり、北方警備史の魅力をさまざまな形で発信していきたい」と話している。

   「陣屋」の跡は白老のほか、函館市や室蘭市などにあるが、多くの遺構は位置や建物構造が不明になっているなど、保存上の課題がある。同資料館と同館の町民有志によるボランティア組織「友の会」が2021年度から3年かけて調査し、明らかにしたもので、7月のシンポジウムでは出席者で現状を共有。ネットワークを組織する動機となった。

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