厚真町浜厚真地区などでDaigasガスアンドパワーソリューション(大阪市)が建設を計画している風力発電施設について、同町の住民団体「(仮称)苫東厚真風力発電事業を考える会」は計画変更を求める署名活動を10~11月に行い、直筆とオンラインで計1万1989筆を集めた。2日にメンバー6人が厚真町役場と町総合福祉センターを訪れ、宮坂尚市朗町長と町議会の渡部孝樹議長に署名を提出した。
同会は「再生可能エネルギーはこれからの社会には必要なのは理解している。風力発電自体に反対しているわけではない。しかし、地域住民の健康や生活環境、貴重な自然環境が奪われる場所に風車を建設してはならないと考える」として、10月3日から11月30日に署名活動を実施。内訳は町内が1277筆、むかわ町・苫小牧市が1512筆、他の地域が9200筆。
町総合福祉センターでは、メンバーが署名と要請書を宮坂町長に手渡し、家倉博世話人共同代表は「健康な生活と営農、子育ての環境を守り、貴重な自然環境を未来に残すため、巨大風車の事業計画の変更を求める」と話した。宮坂町長は「要請内容を受け止め、事業者に申し入れを行い、道知事と意見交換をさせていただく」と述べた。その後、非公開で約50分間、意見交換を行った。
署名活動は、メンバーが町内の住宅を回って署名への協力を求めた。町民からは「風車がある地域に行くと具合が悪くなった」、「自分たちの体がどうなるか心配だ」と署名に協力する人や、「自然を利用するのだからいいことだと思う」、「建てたいというものを拒む必要はない」など事業に賛成する理由を述べた人もいたという。
家倉世話人共同代表は「事業に賛否の声があるが、署名活動を行うことで町民の関心を高めることにつながった」と受け止める。
同会は4日、道に提出するほか、経済産業省や環境省に郵送する。同社には結果を郵送で伝える。館山睿世話人共同代表は「風車がある場所で子育てをしたい人はいない。不安を感じる人がいるので、事業はやめるべきではないか」と話した。
同社は苫小牧、厚真にまたがる海岸沿いに風車を10基設置する風力発電事業を計画。最大出力は3万4390キロワットの見通しで、2026年3月ごろに着工し、28年4月の運転開始を予定している。