苫小牧のマメイカ釣りが終盤を迎えた。6月上旬、釣り人でにぎわった苫小牧港・西港の各岸壁も、ここ数日は海水温の上昇などから釣果が伸びず人影もまばら。6月中旬、勇払埠頭(ふとう)で初夏の風物詩を楽しむ釣り人に取材した。
午後2時すぎ、勇払埠頭では20人ほどの釣り人がさおを振っていた。多くは、ライトクラスのルアーロッドに疑似餌の餌木(えぎ)を使ってイカを狙う「エギング」だ。さおをしならせる光景もなく、”シーズン終盤”ならではののんびりとした空気が漂う。
江別市から訪れた無職の男性(70歳)に話を聞いた。正午すぎに釣り始め、足元のバケツには手のひらサイズのマメイカが5匹。「反応は薄いけど、コロナの自粛明けで釣りができるだけで楽しい」と笑みを見せた。
7・6フィートのメバルロッドに1500番のリール。イカに警戒心を与えづらい細さのPEライン0・4号を巻き、先端の30センチほどはショックリーダーにナイロンライン1号を結節。餌木は1・5号サイズを使っていたが、「反応が悪ければ1・3号などサイズを下げている」とのこと。
餌木のカラーも定番のオレンジやピンク、紫に加えてサバやイワシなどをリアルに印刷したカラーをローテーションで使用。「シーズン終盤で定番の色はイカに見切られやすい」と言う。釣果につながるのは一風変わった色や柄の場合も多い。
ほかにも独自の工夫が光る。この日は、深い棚でわずかな当たりを感じたことから、餌木の先端に糸状の鉛を巻くことで、深場へ速く餌木を送り込む。「釣れない時に工夫して釣果につなげるのがエギングの楽しみ方」と話した直後だった。”ググッ”とイカ独特の当たりがさお先を揺らす。男性は目の前で体長15センチほどのマメイカを釣り上げた。
針から逃げ出そうと墨を吐き出すイカを前に「終盤だが、自粛明けの釣りを楽しみたい」と笑顔で語っていた。