落ち着いた雰囲気の中でゆったりと過ごせるカットスペース、エステルームなどを備えた苫小牧市見山町の美容院「STYLE(スタイル)」。マスク越しでも、来店客への感謝の気持ちを込めた笑顔を忘れない。換気のため窓を開ける際には「寒くないですか」と声掛けするなど、従来以上の気遣いを見せる。
スタッフはマスク着用や消毒を徹底し、首から提げる除菌グッズも導入。もちろん、小まめな手洗いも心掛ける。客がマスクを着用したままでカットしてほしいと望めば、快く対応する。隣り合う席は極力使用せず、予約の待ち時間を解消することで、「密集」も回避する。
施術中の「密接」は避けられないだけに、スタッフはまず自分たちが感染しないよう注意。政府や道が求めてきた移動制限が解除された今も不要不急の外出を控える。万が一、感染者が出た場合に備え、客の連絡先などの管理も徹底。細かなニーズにまで目配りする。
鈴木みどり代表(48)は「お客さまからも気遣いを頂いている」と強調。新型コロナの収束を見通せない中、再び緊急事態宣言が出ないか不安もあるが「できる限りの対策を講じ、満足してもらえるように努める」と前を向く。
来店客は2月末以降、急速に減り始め、3月は前年比4割ほど落ち込んだが宣言が解除された5月下旬から徐々に回復。6月に入ると、これまで外出を自粛していた常連客らが訪れ、「やっと来られた」「さっぱりした」などと店内に喜びの声が広がる。
美容師の横山沙代さん(41)は「こういう状況下でも足を運んでもらえるのは、大変ありがたい。お客さまの言葉にも温かさを感じる」と言う。「美しくなってもらった上で、精神的にもすっきりして笑顔になってもらえるよう、これまで以上に感謝の気持ちを持って対応したい」と鈴木代表。心のやりとりは「密」にする。
(松原俊介)